杉田 智和

声優 近藤勇役杉田 智和

#11
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自分の声は、ダメな声・悪い声と思い込んでいた青春時代。声優になる、なんて発想には至らなかった。

声優 近藤勇役
杉田 智和

「13歳の青」第11回のゲストは、TVアニメ『青のミブロ』で「近藤勇」役を務める、杉田智和さん。作中では、純粋でどこか天然なところもあるが、剣の腕はミブロでも随一、身も心も武士であろうとするミブロの中心人物・近藤を、深くそして時にコミカルに演じています。アニメや吹き替え、ナレーションなど幅広く活躍している杉田さんは「13歳の頃」はどのような少年だったのか。当時のことを振り返ってもらいました。

アニメ・マンガ・ゲームに夢中 「目立たないように生きていました」

どんな「13歳」でしたか?
杉田 世間の流行りには乗れなかった子供で、頭も良くなければ、体力もなかったです。Jリーグが開幕して1~2年ぐらいたっている状態でしたが、「スラムダンク」の影響なのか、当時最も流行っていたものはバスケットボール。小学校の卒業文集のクラブ活動のページでは、集合写真には収まりきれないくらいのバスケットボール部員がいました。バスケットボールが全くできなかった“キモヲタ“の杉田少年は卓球クラブに入っていました。「しりとりをしながら卓球のラリーしようぜ」って……正確には“下ネタしりとり”です(笑)。寝転がって、マンガとゲームの話をしているだけでクラブの時間が終わるような、アットホームな時間を過ごしていました。
クラスではにぎやかなタイプでしたか? それとも真面目で静かなタイプでしたか?
杉田 少ない仲間の中で何かおかしいことを言うやつ、というようなポジションだった気がします。べつに人望もないし、「音楽」と「スポーツ」という2大イケてる話題から最も遠いところにいた、迫害を受けるタイプのオタクだったので、目立たないように生きていました。
当時、夢中になっていたことや、ハマっていたものはありましたか?
杉田 アニメ・マンガ・ゲームに一番のめり込んでいました。「自分じゃない自分になれるもの」ってその3つでした。自分の人生にあまり興味がなかったから、ゲームや物語の中で強い体を得て戦う方が楽しかったです。クラスの中心にいるイケてるやつらが、「もういらない」と捨てたアニメ・マンガ・ゲームがとてつもなく好きでした。
声優の世界で活躍したい、という思いはありましたか?
杉田 アニメ、マンガ、ゲームの向こうには、作っている人、携わっている人、命を吹き込んでいる人がいる、というのはわかっていましたが、当時はそこまではいけなかったです。その頃はインターネットもなかったので、情報源はたいてい雑誌やテレビでした。人気声優ランキングトップ5が発表されたとき、2位に「スラムダンク」の流川楓を演じられた緑川光さんがランクインしていて、「普段から流川楓の声なんだ! わー、すげー!」と感動したことは覚えていますが、それぐらいで収まっていました。ちょうどその頃、声変わりして声が低くなったのですが、「あ? 聞こえないよ」とか「機嫌悪いの、お前?」と言われて理不尽に殴られたこともあって(笑)。自分の声って、ダメな声、悪い声だと思い込んでいました。
“今の自分”について、“13歳の頃の自分”はどんな風に思うと思いますか? もし当時のご自身へメッセージを送るとしたら?
杉田  「お前は30年後、今遊んでいるゲームのキャラの声になるぞ」と言っても、絶対信じないと思います。過去の自分は、未来の自分を受け入れない。それぐらい自分のことに興味がなかったです。もしメッセージを送るなら、「なぜあのとき、もっと楽しまなかったんだ」「なぜあのとき、川越のゲームショップで投げ売りになっていたNEOGEO(ネオジオ)のロムカセットたちを全部買わなかったんだ」と言いたいですね。ロムカセット、今は世界レベルでコレクターがいるので、久しぶりに遊びたいなと思ってもすごく高いんです。なぜあのとき買っていなかったんだ、クソー!(笑)。

これまでに描かれてない視点で描く、「青のミブロ」

「青のミブロ」について。
杉田 既に多くの作品で描かれてきた「新選組」という題材を、「にお」を通して新しい視点で描いている部分が魅力ですよね。「新見錦」一人とっても、だいぶイメージが違う。卑怯な戦法で仲間もろとも切り刻んでしまうような残忍なヤツ、というイメージがありましたが、「青のミブロ」では、穏やかに静かに知略をめぐらせて、皆のために動いてくれる人として描かれています。「最新の歴史の記述ではどうなっているんだろう?」と気になりました。これまでにない視点でクローズアップされているので、私は「青のミブロ」の新見錦も、芹沢鴨も好きです。
演じられている近藤勇の印象はいかがですか?
杉田 「新選組」と共にさまざまな創作物で描かれてきた近藤勇ですが、知名度の割に本人の活躍はそんなに目立っていない印象です。最終的に処刑されて亡くなる人物ですし……。どっちかというと、マンガの花形は沖田総司か土方歳三で、近藤勇はあまりクローズアップされない。どの作品でもなぜか人望があって、なぜか局長なのに、「なんでその立場に?」と問われても、意外とその理由が描かれていないイメージがある。まだまだ語り尽くされていない人物だなと思います。
「青のミブロ」ファンに向けて、メッセージをお願いいたします。
杉田 近藤勇の立場から言えることは、自分ではなく隊士のことをよろしく頼むということです。隊士をどうやって生き残らせるか、物事をうまく運ぶかと考えているので、自分のできることをやります。なので、皆さま、ミブロのメンバーをよろしくお願いします。
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