羽原 久美子

監督羽原 久美子

#02
#02

「頑張ったり、頑張らなかったりしよう」

監督
羽原 久美子

「13歳の青」第2回のゲストは、TVアニメ『青のミブロ』で監督を務める羽原久美子さん。原作が好きだったという羽原さんが監督ならではの視点で語る作品の魅力。そして、アニメーション制作の上で心掛けていることを伺い、さらに小さいころ絵本や児童文学が好きだったという監督から「13歳」に向けたメッセージを伺った。

「13歳」でアニメファンに

どんな「13歳」でしたか?
羽原 なんにも考えていなくて、ぼーっと生きていた感じでしたね。部活もやっていなくて。アニメファンになったのが13歳ぐらいでした。 夏休みに再放送をしていた手塚治虫さんの「海のトリトン」にすごくハマってしまって。海を旅しているお話だったので、世界地図でどのルートを辿っているのかを見たり、声優さんを初めて意識したりしました。主人公が13歳で自分と同じ年齢だったので、 14歳になるときに、「あっ、年をとってしまう!」と思ってすごくショックだったのを覚えています。
そのときに、アニメの世界で働きたい気持ちも芽生えたのでしょうか?
羽原 そこまでは考えていなかったですが、絵を描いたり、マンガを読んだりするのは好きでした。小学校までは結構活発で、学級委員長をやって、友達もいっぱいいて、毎日外で遊んで……みたいな感じだったんです。中学に入ってから急にインドアになってしまい、性格もちょっと暗くなって。 自分が子供っぽかったので、みんなが「お兄さん」や「お姉さん」に見えて、引け目を感じた部分がありました。小さい頃はおとなしい子だったので、また戻っちゃったような……。まわりに引っ張られて楽しくやっていたけれど、本来は内向的な人間なんだな、暗いなーというのを自覚し始めたのが、中学のときです。
“13歳の頃の自分”が、今アニメの現場で活躍されているご自身を見て、どんなふうに思うと思いますか?
羽原 絵本や児童文学が好きだったので、そういうものに関われたらいいなという気持ちはありましたが、当時はまだ将来「働く」というリアルなビジョンがなかったので、 自分が働いていること自体がすごいなと思うと思います。アニメの世界とは関係なく、ちゃんと社会に出て働けているのがえらいなって(笑)。
まさに今、新しい一歩を踏み出そうとしている“13歳たち”にメッセージをお願いします。
羽原 自分でいつも決めていることがあって、それは「頑張ったり、頑張らなかったりしよう」ということ。頑張るときは頑張るけど、頑張らないときは頑張らない、って。 ずっと頑張っていると折れちゃうし、頑張らなさすぎてもよくないし、そこはもう自分でうまく折り合いをつけて、 「今は頑張るとき」「今は頑張らなくてもいいとき」という風にやっていったらいいんじゃないかなと思います。

大好きな『青のミブロ』に関われていることが「一番幸せ」

『青のミブロ』制作にあたり、監督はどのようなお仕事をされているのでしょうか?
羽原 アニメには、絵を描いたり、アフレコで声や音を入れたり、撮影したり、映像を編集したり、シナリオを作ったり……色々なセクションがあります。監督はすべてのセクションに関わる仕事。 音響監督や、シナリオライターさんなどプロの方達の中に、素人で入っていって、えらそうな口をきくのが監督なんです(笑)。 最初に演出するときに言われたのが、「知ったかぶりをするな」ということ。知ったかぶりしても現場のプロにはかなわないから、 各セクションに“相談させてもらう”という気持ちでいないとダメだと言われました。それは今も心掛けていることです。色々な監督さんがいて、「全て引っ張っていくぞ」というタイプや、優しく見守るタイプの監督もいます。 私はその場でわからないことは聞いて、「みんなで頑張っていこう!」というスタンスでやっています。
監督業の中で、うれしい瞬間はどんなときですか?
羽原 『青のミブロ』の原作がめちゃくちゃ好きなので、それに関われていること自体が一番幸せなことだと思っています。
『青のミブロ』の魅力について。
羽原 現代の子がぽんっと異世界に入ったような、ピュアで何も知らないにおくんが入ってくることでその視点から改めて新選組を見る、というのが面白い視点だと思います。 子供が入ったことで新選組がどう変わっていくのか?という部分も面白いです。 新選組を知っている方も、まったく知らない方もちがう方向から見て楽しめるというのがこの作品の良さだと思います。 私は歴史が苦手で、新選組をなにも知らないところから入ったんですけど、原作を読んでその後に歴史を調べると、 「これって、こういうことだったんだ!」とわかることがすごく面白くて。 ファミリーで見られるというのもいいと思います。
『青のミブロ』制作にあたり、大切にしていることを教えてください。
羽原 「アクション」については、アクションが得意なスタッフに任せて頑張ってもらっています。 その分、私はキャラクターの心情に寄り添うというか、内面や心の動きが描けたらいいなと思っています。
『青のミブロ』の放送を楽しみにしている方たちへメッセージをお願いいたします。
羽原 なるべく原作の面白さを伝えられるように頑張っているので、アニメを見て、原作も読んでいただけるとうれしいです。 新選組に詳しい人に聞きながら見てみるのもいいと思います。ご家族でそういう楽しみ方をしてもらえたらいいなと思います。
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