「13歳」でアニメファンに
- ― どんな「13歳」でしたか?
- 羽原 なんにも考えていなくて、ぼーっと生きていた感じでしたね。部活もやっていなくて。アニメファンになったのが13歳ぐらいでした。 夏休みに再放送をしていた手塚治虫さんの「海のトリトン」にすごくハマってしまって。海を旅しているお話だったので、世界地図でどのルートを辿っているのかを見たり、声優さんを初めて意識したりしました。主人公が13歳で自分と同じ年齢だったので、 14歳になるときに、「あっ、年をとってしまう!」と思ってすごくショックだったのを覚えています。
- ― そのときに、アニメの世界で働きたい気持ちも芽生えたのでしょうか?
- 羽原 そこまでは考えていなかったですが、絵を描いたり、マンガを読んだりするのは好きでした。小学校までは結構活発で、学級委員長をやって、友達もいっぱいいて、毎日外で遊んで……みたいな感じだったんです。中学に入ってから急にインドアになってしまい、性格もちょっと暗くなって。 自分が子供っぽかったので、みんなが「お兄さん」や「お姉さん」に見えて、引け目を感じた部分がありました。小さい頃はおとなしい子だったので、また戻っちゃったような……。まわりに引っ張られて楽しくやっていたけれど、本来は内向的な人間なんだな、暗いなーというのを自覚し始めたのが、中学のときです。
- ― “13歳の頃の自分”が、今アニメの現場で活躍されているご自身を見て、どんなふうに思うと思いますか?
- 羽原 絵本や児童文学が好きだったので、そういうものに関われたらいいなという気持ちはありましたが、当時はまだ将来「働く」というリアルなビジョンがなかったので、 自分が働いていること自体がすごいなと思うと思います。アニメの世界とは関係なく、ちゃんと社会に出て働けているのがえらいなって(笑)。
- ― まさに今、新しい一歩を踏み出そうとしている“13歳たち”にメッセージをお願いします。
- 羽原 自分でいつも決めていることがあって、それは「頑張ったり、頑張らなかったりしよう」ということ。頑張るときは頑張るけど、頑張らないときは頑張らない、って。 ずっと頑張っていると折れちゃうし、頑張らなさすぎてもよくないし、そこはもう自分でうまく折り合いをつけて、 「今は頑張るとき」「今は頑張らなくてもいいとき」という風にやっていったらいいんじゃないかなと思います。
