SPYAIR

オープニングテーマSPYAIR

#08
#08

「青」い時代から踏み出す新しい一歩

オープニングテーマ
SPYAIR

「13歳の青」第8回のゲストは、TVアニメ『青のミブロ』でオープニングテーマを務める、4人組ロックバンドSPYAIR。本作のために書き下ろした楽曲「青」は、「誰しもが通る青い時代を渡って、大人になっていく変化や決意を込めた」と語る彼ら。そんな彼らは果たして、どんな「青」い時代を経て今に至ったのか。4人の「13歳」から今へと繋がる思いとは。

メンバーが夢中になったものとは?

どんな「13歳」でしたか?
MOMIKEN(Bass) 13歳くらいから映画館に洋画を観に行くことにハマり出して。色々な映画を観に行ってましたね。当時は、「エアフォース・ワン」とか「メン・イン・ブラック」が上映されてました。毎週のように映画館に行っていたので、そのたびにポップコーンとコーラのセットを買うのは、お小遣いでは無理だなって思って我慢していて。いつか大人になったら売り子さんを止めてポップコーンとコーラのセットと、ハーゲンダッツを買って映画を楽しむんだ!と思っていたんですけど、僕が高校生になる頃には、売り子さんもいなくなってしまって……(笑)。
KENTA(Drums) 3歳くらいからずっと水泳をやっていて。通っていたスイミングスクールには、国体に出るくらいの人がいるほど、結構マジなところで。1日に泳ぐ距離もえげつなくて……。中1の頃は、「SLAM DUNK」が全盛期でめっちゃ流行っていて、自分はバスケをしたい、でも水泳をここまでやったら行けるところまで行ってみたい。そういう頃でしたね。だから、バスケと水泳の両方をやっていて。水泳が終わったら、陸でも短距離をめちゃくちゃ走って。それで夜、またプールでしこたま泳いで……みたいなのを繰り返していました。
YOSUKE(Vocal) ませガキでしたね。部活(サッカー)も中途半端にしかしていなかったです。小学校の頃は、親の影響で洋楽を聴いて、それで自分も楽器をやりたいということでずっとギターを弾いていたんです。でも、中学に上がってからは部活だったり、友達との遊びだったりで…遊んでいましたね。恋していました!(笑)。本当に思い出に残ることがそれぐらいしかなくて。当時、「いいな」って思った子がテニス部にいて、帰り道追っかけて。連絡先を聞こうと思ったら、その子は携帯を持ってないらしくて、連絡手段がないなと。その子のクラスの友達に聞いて、連絡網で家の電話番号を教えてもらって、家に電話したら、その子の親が出て……(笑)。連絡手段がないから、いつの間にか自然消滅しちゃいました。
UZ(Guitar & Programming) 俺もいろいろ中途半端で。色々なものに飛びついてましたね。その中の1つで、中1の時にエレキギターを買いました。うちの兄貴がやっていて、弾けるようになったらモテるだろうなって。文化祭で、中3の先輩が弾いていたのを見て、中3までに自分も弾けるようになって、バンドを組んでやったらその日からスターだろうな、って夢見ていた頃です。でも、その時はただエレキギターを買ったって感じでしたね。持っているだけで満足、みたいなところもあったと思います。その後、中2 の終わりから中3くらいに、「Hi-STANDARD」を音楽として初めて好きになって。そこからエレキギターをちゃんと弾くようになりました。
“今の自分”を、“13歳の頃の自分”が見たらどんな風に思うと思いますか?
MOMIKEN 「お前、目(のメイク)どうした!?」って言うでしょうね(笑)
一同 そりゃそうだね(笑)
MOMIKEN 「しかも、メジャーで!?ベースやってるの??」って。この後の人生どうなるんだろう…って不安になるかも(笑)音楽については、洋画を観に行っていた影響で、この頃から洋楽を聴き始めたんです。スピーカーシステムみたいなのものを買うお金は当然ないけど、何とかして自分の部屋をクラブみたいにできないかなって考えて、とにかくラジカセを部屋の色々なところに設置して、爆音で聴いていました。
KENTA 音楽なんか1ミリも聞いてなかったから、びっくりするでしょうね。どっちかというと、スポーツに夢中だったので、「えー!」ってなると思います。ドラムは中学を卒業してすぐに始めたので、中1の頃はもう全くでした。この頃の自分から見たら、「ドラム叩いてるの?」「ドラムって何?」みたいになっていた気がしますね。
YOSUKE どう感じるんだろう……? 意外とガキだなって思うんじゃないですかね。今26歳なんですけど、13歳の頃に想像していた26歳って、髪の毛“七三”でスーツ、革靴コツコツ鳴らして歩いて、いい車乗って、いい焼肉食って……みたいなイメージだったんですよね(笑)。もちろん音楽はずっと好きだったので、ミュージシャンにはなりたいと思っていました。でもたぶん、当時の自分が描いていたミュージシャン像ではないなと。元々ギタリストになりたかったので、「ボーカルやってんの?」みたいな感じじゃないですかね。
UZ 「おじさん」じゃないですか(笑)? 13歳の頃の40歳ってめちゃくちゃ「おじさん」(笑)。すごく大人で、達観しているんだろうなって思っていたと思います。でも今この職業をしているから、そういう意味では、当時なりたかった自分以上のものになれていると思う。その頃好きになった「Hi-STANDARD」が、『AIR JAM』というフェスをやっていて。こんなんやりたい、こんなところでギターを弾いてみたい! っていうのが、自分の中の初期衝動としてあったんです。それと似たようなことは今やれている、そういう意味ではよく頑張ったなと思うんじゃないですかね。
もし当時のご自身へメッセージを送るとしたら?
MOMIKEN 13歳の時って、一生その街から出ないんじゃないかと思っていたから、英語を学校で習っても、こんな田舎で英語を使う機会絶対ないなと思っていたんです。でも、今は海外に行ってライブする機会もあって大事だなと。だから、「英語だけは学んどいた方がいいんじゃないか?」ですかね(笑)。
KENTA もう僕は褒めてあげたいです。今考えてもちょっとゾッとするぐらいの運動量だったから、「お前すごいな」って。中2の夏に、バスケをやるので水泳はやめちゃったんですけど、それまでは今考えたらもう絶対に無理って思うぐらい練習をやっていたから。
YOSUKE 「そのままでいいんじゃない?」って言うかもしれないです。普通に色々あったけど、たぶん楽しく、なんだかんだやっていたと思うんで。あの時の経験とかも、今にいきていることは多少なりともあると思う。「“13歳”で感じるその素直な気持ちを受け止めてやっていけばいいんじゃない?」ですかね。
UZ 「何かをしろ」とか、「これは良くないよ」とかはないかな。「そのまま、ありのままで」かな。今思うと、もちろん青くて恥ずかしい部分はたくさんあるけれど、自分が感じたように生きるのが一番だなと思いますね。

「青のミブロ」のために書き下ろした「青」

オープニングテーマの「青」は、「青のミブロ」のために書き下ろされた楽曲です。作詞を担当されたMOMIKENさんは、どのような思いを込められたのでしょうか。
MOMIKEN 「青」は、成長を描いているような楽曲になっていて。青といっても鮮やかな青、深い紺色のような青……とか色々な青がある。鮮やかな、若々しいところから、色々な色が混じっていって、責任とかそういうものを感じさせる重みのような深い青に向かっていく。そんな成長を歌詞の中に描いているので、そのあたりを感じていただけたらなと。
曲を作られたUZさんは、どんなことを意識されたのでしょうか。
UZ 原作を読んだときに自分が受けた感想、気持ちをより引き立てて、音楽で作品を盛り上げるようなものを作りたいというのが大前提にありました。近くにマンガを置いて、ずっと意識して作っていました。マンガにあるシリアスな部分、内省の部分、戦いの部分、そういうものを引き立てたいなと思って、サウンド作り、メロディー作りをしていきました。
まさに今、新しい一歩を踏み出そうとしている“13歳たち”にメッセージをお願いします。
MOMIKEN 何かやりたいと思ったことは、自分が思ったその瞬間から動き出した方がいいんじゃないでしょうか。10代の期間って、吸収できるそのスピードが当然違うし、気持ちが動くその衝動も全然違うから、やりたいと思った時にすぐ一歩踏み出すっていうのがすごくいいことじゃないかなと思います。
KENTA 10代の学生の時に、いっぱい友達を作った方がいいんじゃないかなって思います。20代になってから、できる友達は入れ替わると思うんですよ。でも10代の時にすごく仲良くなった人って、長い間付き合える人ができると思う。友達の数は少なくてもいいと思うけど、いっぱい遊んだ方がいいんじゃないですかと思います。
YOSUKE その年代だったら、新しい一歩を踏み出そうとする時って、どうしてもまだ親に助けてもらわなきゃできないことだって、たぶんあると思うんです。とはいっても、なかなか親に言いづらい年頃でもあるじゃないですか。でもやっぱり、13歳というときの、やりたいことや好きなことって取り返せないので、周りをもっと頼ってもいいんじゃない?と思います。
UZ 誰も見ていないのに、全員が自分の行動を見ているような気がして、なんか周りに合わせなきゃいけないのかな? と感じるような、敏感な時期だと思います。でも、自分がやりたいなって、ちょっとでもその「種」を見つけたら、とにかく周りの空気を読まずに手を出してほしいな。そこで自分にハマるかどうかはたぶん、数をこなさないとわからない。俺らもいろんな趣味があって、その中で楽器ってものに出会って、それが仕事になっているわけです。もしかしたら他の“何か”だったかもしれない。周りの意見や空気を読んで、自分でそれを狭めることはしてほしくないです。1回きりの人生だから。今、40代近くになって思うけれど、“10代”って今の俺らの1年と密度が違うので、色々とやってみてほしいです。
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