梅田 修一朗

声優梅田 修一朗

#01
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「苦しみ続けること」を選ぶ自分に胸を張る

声優 ちりぬ にお役
梅田 修一朗

「13歳の青」記念すべき第1回のゲストは、TVアニメ『青のミブロ』の主人公である「ちりぬ にお」役を務める、梅田 修一朗さん。作中では、13歳の普通の少年である・におが「世界を変えたい」という思いを胸に成長していく様を熱演する。近年数々の作品に主演で抜擢され、いま飛ぶ鳥を落とす勢いの梅田さんが「13歳」の頃はどんな少年だったのか?素直な思いを伺った。

「思い悩みながら日々を過ごしていた」

どんな「13歳」でしたか?
梅田 すっごくナイーブな中学生でした。主体性のある少年ではなくて、幼なじみの友達が入るから自分もバスケ部に入るような感じでした。部活がなくて一人で帰るときには、将来のことや、「何のために生きるのか?」「人間とは?」ということをぐるぐる考えて。思い悩みながら日々を過ごしていた記憶があります。当時は悩みしかなくて……友達はいたのですが、「どういう風に人と接するのが正しいんだろう?」みたいなことをずっと考えていました。
バスケ部はいかがでしたか?
梅田 幼なじみの隣にいたいから、という理由でなんとかやっていました。ベンチメンバーだったので、ポジションは決まっていなくて。今はバスケが大好きなんですけど、当時は自分の中でも試練というか……得意ではなかったです。幼なじみは自分とは対照的で、常に人の中心にいるような男の子。その子についていかなきゃ!というような感じでした。
“13歳の頃の自分”と、“今の自分”について、変わった部分はありますか?
梅田 変わった部分と、変わってない部分のどちらも自覚しています。好きになったら、自分が納得いくまで掘り下げちゃうところは変わっていません。当時からオタクで、アニメやネット文化が好きだったので、そういう部分は変わっていないです。すごく変わったなと思う部分は、頑張れるようになったこと。あの頃は、「自分に向いてない」と思ったら頑張りたくなかったし、頑張ることも強制されているようで苦手でした。でもこのお仕事につかせてもらって、最近は色々な方から任せていただけるようになってきて。その期待に応えたいという気持ちもあってか、主体的に頑張れるようになってきました。
そんな“今の自分”について、“13歳の頃の自分”はどんな風に思うと思いますか?
梅田 想像がつかないと思います。自分がこんなに人と話せるようになっているとも思わないでしょうし……。これはオタク特有かも知れないですけど(笑い)、仲間内の中ではテンションが高くて、よくしゃべって、めちゃくちゃノリがいいんですよ! ただひとたび外に出てしまえば……(おとなしくなってしまう)。当時、生徒会など人前に立つ役職についていたのですが、生徒会長に立候補した子から「お前も来てほしい」と言われてやったもので、主体性がなかった。それが今、自分がやりたいと思えることにやっと出会えた。あの頃の僕が今の僕を見たら「すごいな」と思ってくれると思う。ただ、自分自身に対しては厳しいので、気に入らない部分もあるかもしれないですね(笑い)。
もし当時のご自身へメッセージを送るとしたら?
梅田 無駄なことは一つもない。悩んだことも、うまくいかなかったことも、そのときが最悪でもやっぱり終わりではない。そこをどうしていくかがスタートになる。当時の自分が苦しんでくれたおかげで今の自分がいるので、「つらいと思うけれど、その苦しみは僕を作っていくよ」と。「その苦しみは僕にとって必要なものだよ」ということですね。
まさに今、新しい一歩を踏み出そうとしている“13歳たち”にメッセージをお願いします。
梅田 「そのうち楽になるよ」とか、「大人になったら、なぜあんなことで悩んでいたんだろうって思うよ」みたいな言葉はよく言われていました。でも、僕は楽にならなかった。なので、ちがう言葉を伝えたいなと思っています。大人になっても、自分が悩むことは大きく変わらないと思っていて。自分の大事にしているものが変わらなければ変わらないほど、同じことで悩んだり、苦しんだりというのがずっと続いていくと思うんです。それが嫌だなと思うなら、気持ちが楽な方に行っていいと思うし、気持ちが楽になれる人と一緒にいてもいいと思う。ただ、つらいなと思いつつも苦しみ続けることをどこかで選択してしまう自分がどこかにいるなら、それは胸を張って大事にしていいと思います。きっと今13歳の君を、これからも強く強く形作っていく力になると思う。ぜひその苦しみは胸を張って持ち続けてほしいです。

におが“感じたもの”を言えるように

『青のミブロ』という作品の印象や、におを演じる際に大切にされていることを教えてください。
梅田 生きていく上で必要なものや考え方、気持ちが生まれるきっかけは、誰かと出会ってしゃべったりすることだと思います。「生かされている」ということを強く気付かせられる作品だと思います。におを演じるときには、におが感じたものを言えるようにしたいと考えていて。1つ1つの言葉を、「セリフ」という感じで決めないようにしたいという思いがあります。毎話、みなさんの印象に残るセリフや言葉があるんじゃないかと思います。
声優のお仕事をされていて、一番うれしいときはどんなときですか?
梅田 自分で「よし、完璧だ!」と思える瞬間はなくて。でも、「青のミブロ」のPVが初めて世に出たときは、僕はこんなにすごい作品に関わらせていただいているんだなと思いました。身が引き締まると同時に、形になったものを見るとうれしいなと思います。役者としては、自分の知らないところで「自分が認められている」ということをふと知ったときが、うれしいときかなって思いますね。
今後の目標を教えてください。
梅田 やっと色々な(仕事の)ご縁を感じられるようになってきて、まさに今ここからだなと思っています。自分を大事にすれば、まわりの人も大事にすることにつながるのかなと。「大事に」というのは、自分の信念を大事にすること、自分の体を大事にするという意味でもあります。自分の身を燃やしつつも、燃え尽きない安心感を持ってもらえるように、強く一歩一歩踏み進めていける力強さを身につけていきたいです。
「青のミブロ」の放送を楽しみにしている方たちへメッセージをお願いいたします。
梅田 色々な信念、色々な苦しみ、色々な思いを抱えた男たちが集まって、ひしめき合って、思いをぶつけあって進んでいく今一番熱いアニメになっているので、ぜひ楽しみにしていただけたらと思います。
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